生物兵器に転用可能な機器を無許可で輸出したとして警視庁が逮捕したものの、初公判直前に検察が起訴を取り消すという異例の経過をたどった「大川原化工機事件」。同社の社長らが国と東京都を訴えた損害賠償訴訟の判決が12月27日、東京地裁で言い渡される。
この事件は、ブラックボックスだった公安警察のあり方を問う格好の材料であり機会だ――。東京地検公安部長として警視庁公安部とともに仕事をした経験のある若狭勝弁護士は、そう力説する。市民生活の背後にいる「公安」の不気味さと「わからなさ」について、あらためて聞いた。
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刑事と公安は、水と油
警視庁公安部のカウンターパートである東京地検公安部の部長を、2年ほど務めました。検察官の目から見ても、公安警察は極めて特異な組織でした。
刑事警察では、殺人事件が典…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル